「主治医が見つかる診療所」(テレビ東京、11月25日)は、脳卒中スペシャルの2時間特番でしたが、前半は、”34才で脳梗塞を発症、大橋未歩初告白”という内容でした。
テレビ東京の女子アナ、大橋未歩さんが脳梗塞を発症したのは、今年の1月8日。
その時の症状の具体的な様子など一部始終、そして治療法などを、テレビで初告白しました。
まずは、大橋アナの発症の瞬間ですが、1月8日の午後11時頃、寝る前に顔を洗っていた時、右手が左手に触れると左手に「触れられている」という感覚が全くなかったそうです。
そして、左手でクリームを取ろうとしたら、クリームが床に落ちました。それを拾おうとかがんだら、そのままガクっと倒れ、立ち上がれなくなりました。
「世界がグニャグニャになって、どうチカラを入れていいのかも分からない」状態になったそうです。視界がグニャグニャに歪み、左半身にチカラが入らない状態でした。
まもなく、夫に発見され、その時は左の顔も麻痺して垂れ下がり、ろれつも回らなくなっていました。
大橋アナは大袈裟になるのがイヤで、「大丈夫」と言おうとしましたが、「らいじょうぶ」という発音になってしまっていました。
夫が大橋アナの反対を押し切り救急車を呼びましたが、病院に運ばれる途中で、意識はハッキリと戻り始めていたそうです。
MRIでの診断は、”右脳に4箇所の脳梗塞”でした。
治療として、血栓を溶かす薬を点滴で体内に入れる方法を10日間。2~3日は絶対安静でした。
その後は幸にも後遺症はなく、10月には仕事の現場に復帰できました。
・大橋未歩アナの症状
①左手の感覚がない
②視界が歪む
③顔の左半分が垂れ下がる(麻痺)
④ろれつが回らない
などです。
では、大橋アナの脳梗塞の原因は何だったかというと、『右内頚動脈解離(みぎないけいどうみゃくかいり』というものでした。
これは、右側の首筋の内頚動脈の内側の壁が剥がれていて、血管内の血の通りが50%にまで低下していたそうです。そして、その部分で血流に淀みが発生し、大きな血栓ができていたのです。
それが剥がれて脳へ飛び、一旦太い血管を塞ぎましたが(その時、倒れた)、やがて血栓はバラバラになってさらに血管の下流に流され(救急車の中で意識が回復した時)、細い血管に運ばれて4箇所に渡り再び脳梗塞を起こしたのです。
大橋アナは一旦は生命の危機を脱したものの。そのまま放置すれば再発する危険があったので、今後は再発防止のための治療が必要でした。
そこで、「虎ノ門病院」で治療を行いました。
内頚動脈解離は、薬での治療もありましたが、まだ将来もあるので、しっかりした治療法として、血管を内側からワイヤーの筒で広げる「ステント」を入れることになりました(手術も可能でしたが、傷が残るなどの理由から止めました)。
大橋未歩アナの経験から、脳梗塞などの重大な疾患は、家族など周りの人間が普段から注意深い観察をし、また家族に関心を持ち、異常があった場合で”いつもと違う”と感じたら、すぐに救急車を呼ぶことが大事だということです。
(本人が嫌がっても、放置しないこと)
番組では、家族を脳卒中から守る方法として、『FAST』の心構えを持つようにと提案していました。
・Face ---- 顔が歪んでいないか? 「イーッ」と言って口を横に大きく開いてみる。
・Arms ---- 腕が上がるか? 片方の腕が下がってしまわないかを見る。
・Speech --- 話せるか? ろれつが回らないか注意。
・Time ---- 一刻も早く救急車を呼ぶ。異常があったらためらわずに救急車。
イギリスでは、この『FAST』をテレビCMで定期的に流したところ、脳卒中での死亡者が年間1万人も減ったそうです。