9月26日のNHKスペシャルは「認知症の先輩が教えてくれたこと」というタイトルの特集番組でした。

香川県のある病院での、認知症患者さんたち自身によるケアの取り組みのレポートです。


その病院には、認知症相談室というところが設置されていて、認知症の患者自身が相談を受けています。

その室長さん(78歳)は認知症になって2年の方で、新しく認知症を患った人の諸々の相談に乗ります。主に不安や心配を和らげてあげることに主眼が置かれているようで、相談する認知症の人は夫婦や家族一緒で相談に来ます。

認知症になった人は、誰もが不安や心配で頭の中が一杯のようです。


室長さん自身も、発症当時は大変なショックを受け、その事実を受け入れられず、ショックから立ち直るのに2年かかったそうです。

しかし、その後は落ち着きを取り戻し、「できる事(をすること)で自分の人生を作り直していく」という心境になりました。

その経験則を新しい認知症の人に、教え諭していきます。


番組では、2組の認知症の夫婦を約1年間ほど取材しましたが、患者さんは最初は出来なくなったことに悲しんだり、戸惑ったりしましたが、相談を重ねるにつれて認知症であることに慣れ、出来ることを楽しむようになっていきました。

一方家族の方も、当初認知症について理解ができず、イラついたり、認知症の人の人格を否定するような言動も取っていましたが、やはり相談を重ねるにしたがい、理解も進み、認知症の人の身になって考える余裕が持てるようになっていきました。


認知症は現在、進行を止める薬もなく、治療の決め手はありません。

しかし、本人と周囲のこの病気への理解によって、対応方法に随分と大きく違いが出てくることを、この番組で知りました。

認知症の人は、周囲からは意識活動が鈍感になっていると思われがちですが、実際は普通の人よりも感受性が敏感で、傷つき安い面があるようです。それを理解せずに、乱暴な、粗雑な態度で接することはとても可哀想なことをしていることになり、ひいては認知症を悪化させてしまう恐れもあります。


私の母も認知症ですが、これまで本人の心の内を深く考えることもなく、つい感情に任せて怒ってしまったことも度々ありました。

この番組を見て、少し理解ができたので、これまでの態度を改めることができそうです。


認知症の人には、まず思いやりを第一に接するよう心がけてください。


◆番組内容の詳細:NHKスペシャル「認知症の先輩が教えてくれたこと」西香川病院の取り組み